この記事の要点
- 2026年6月の著作権法改正で、CDや配信音源をお店のBGMとして流すと、歌手や演奏者、レコード会社にも使用料を払う仕組みができた
- 施行は2029年6月までのどこか。金額と払い方はまだ決まっていない
- 家庭用のテレビやラジオで放送をそのまま流すなら、お店でも対象にならない
2026年6月17日に、著作権法の改正が成立しました(6月24日公布、令和8年法律第48号)。 改正の中心は、レコード演奏・伝達権という新しい権利です。
これまで、お店でCDなどを流したときに使用料を受け取れたのは、おもに作詞家や作曲家でした。 改正法が施行されると、曲を歌ったり演奏したりした人(実演家)と、レコード会社(レコード製作者)も使用料を受け取れるようになります。
改正で決まったこと
改正の柱は2つです。
- 実演家とレコード製作者に「レコード演奏・伝達権」を与える
- この権利を扱う団体を、文化庁長官が指定する制度をつくる
文化庁の説明では、対象は「CDやインターネット配信音源等が店舗においてBGMとして利用されるなど」、商業用のレコードなどを公に再生したり伝達したりする場合です。 このとき、音源を使う人は、実演家とレコード製作者に「二次使用料」を払います。
今の仕組みとの違い
| 誰に払うか | 今 | 改正法の施行後 |
|---|---|---|
| 作詞家や作曲家など(JASRACなどが管理) | 払う | 払う(変わらない) |
| 歌手や演奏者(実演家) | お店での再生については払わない | 払う |
| レコード会社(レコード製作者) | お店での再生については払わない | 払う |
今の法律でも、実演家とレコード製作者は、CDなどが放送や有線放送で使われたときには二次使用料を受け取れます。 今回の改正は、その範囲をお店などでの再生にまで広げるものです。
誰が、いつから、いくら払うのか
払う人と、払わなくてよい場合
払うのは、音源を公に再生したり伝達したりする人、つまりお店の側です。 お金は、文化庁長官が指定する団体(指定団体)に払い、指定団体が実演家とレコード製作者に代わって権利を行使します。
次の場合は払う必要がありません(改正後の95条の2第2項など)。
- 営利を目的とせず、お客さんからお金もとらずに流す場合
- テレビやラジオなどの放送や、その同時配信を、通常の家庭用の受信装置で流す場合(営利目的のお店でも対象外)
- 著作権法の権利制限の規定にあたる場合
始まる時期
改正法は「公布(2026年6月24日)から3年以内で政令で定める日」に施行されます。 遅くとも2029年6月までのどこかで始まり、正確な日付は今後の政令で決まります。
金額の決まり方
金額は、次の流れで決まります。
- 指定団体が使用料の規程案をつくって公示する
- 公示から1か月以内なら、利用者の代表は協議を求めることができ、指定団体は応じなければならない
- 公示から6か月たっても協議がまとまらなければ、指定団体か利用者の代表が、文化庁長官に裁定を求めることができる
利用のしかたごとの金額や細かい運用は、まだ決まっていません。
店舗BGMサービスを使っているお店の扱い
法律上、払う義務があるのはお店の側です。 ただし、サービス事業者がお店の分をまとめて払う形になるかどうかは、まだ決まっていません。
JASRACの使用料については、店舗BGMサービスの事業者が、契約しているお店の分をまとめて払う仕組みがあります。 新しい二次使用料でも同じ形になるかどうかは、今後の規程や運用しだいです。 個々のサービスの音源がどう扱われるかは、指定団体の規程や運用が決まってから確かめる必要があります。
注意
「このサービスなら新しい使用料はかからない」という案内を見かけても、制度の細かい部分はまだ決まっていません。
お店が今できること
今の時点で、契約を慌てて変える必要はありません。 施行日も金額も決まっていないからです。
今のうちにやっておけるのは、お店の音楽の流し方を確かめておくことです。 店舗BGMサービスを使っているのか、自分でJASRACと契約しているのか、個人向けサービスで流していないかを確認しておけば、規程が決まったときに自分のお店がどれにあたるかをすぐ判断できます。 Spotifyのような個人向けサービスで流しているなら、改正とは関係なく、今の時点で規約に反しています(「Spotifyをお店で流してもいい?」)。
続報は、文化庁と、これから決まる指定団体から出ます。 動きがあれば、この記事も更新します。
お店で音楽を流すときのルール全体は「店舗BGMの著作権」で説明しています。
参考資料
いずれも2026年10月5日に確認